60歳までに【老後2000万円】の貯蓄はつくるべきなのか?

コラム
年金を何歳から受け取るべきか迷う人
年金を何歳から受け取るべきか迷う人

そういえば「老後2,000万円問題」ってどうなったの?やっぱり60歳までに2,000万円を貯蓄しておかないといけないのかな・・・。今の貯金のペースでは到底間に合わないけど何か方法あるの?

このような疑問・悩みにお答えします。

記事テーマ
  1. 「老後2,000万円」はあったほうがよい
  2. 終活と資産形成を両立させるのがベスト
  3. なぜ40~50代で「定年後設計」が必要なのか

50代になると避けて通れない老後のお金をどうすべきかという話題。老後破産というキーワードがネットニュースでも流れるように、心配になる方も多いのではないでしょうか。

60歳までに【老後2000万円】の貯蓄はつくるべきなのか?というテーマで解説します。

結論、「老後2,000万円」はあったほうがよい

「老後2,000万円」はあったほうがよい

「老後2,000万円」問題とは、金融庁の調査会が2019年に「年金だけで老後の20~30年間を生活するには、老後資金が約2,000万円必要」と報告し、それに野党などが「年金制度が破綻していると認めたようなものではないか」と猛反発したことをいいます。

さらにその後、財務大臣がその報告書の受け取りを拒否したことで、その報告書の内容への疑念まで噴出しました。

しかし、老後資金について真剣に考えている人は、「2,000万円はあったほうがよい」と認識しておいたほうがよいでしょう。それは、金融庁の調査会の報告が、間違っているとはいえないからです。

「金融庁は間違っていはいない」と考えたほうが無難

そもそも野党も財務大臣も「金融庁の調査会の報告内容が間違っている」とは言っていません。年金だけで明るい老後を築けないと、公に認めたことが「けしからん」というだけです。

金融庁の調査会が示した「老後2,000万円」は次のような内容になっています。

  1. 65歳以降の「老後」を年金だけを頼りにする生活を想定
  2. 老後の期間を20~30年とする(=85~95歳くらいに亡くなると想定する)
  3. 夫65歳以上、妻60歳以上の、両者とも無職世帯の平均的な実収入は月21万円(主に年金)
  4. 同世帯の消費支出の平均は月26.4万円なので、毎月「約5万円の赤字」になる
  5. 月5万円の赤字×12カ月×30年=「30年間の赤字総額1,800万円」となる

この「30年間の赤字総額1,800万円」を、「年金だけで老後を20~30年過ごそうとすれば、老後資金は2,000万円必要になる」と表現したわけです。

「実収入、月21万円」や「毎月約5万円の赤字」は、総務省などが行った調査結果なので、これは「正しい」といえます。

そうであれば、「月5万円の赤字×12カ月×30年=30年間の赤字総額は1,800万円」という単純計算も、間違っていないと考えるべきです。

なぜ2,000万円なのか

ここで今一度、2,000万円について評価してみましょう。

夫65歳以上、妻60歳以上の両者無職世帯の平均的な実収入は月21万円(実収入は主に年金)

この数字は事実なので、動かすことができません。しかし「夫65歳以上、妻60歳以上の両者無職世帯の支出」は、人それぞれなので、将来設計を考える人は「平均支出、月26.4万円」に縛られる必要はありません。

ケース1:毎月の支出を22万円に抑えれば老後資金は360万円

例えば、高齢者夫婦2人が家賃月8万円の借家に住み、食費を月9万円、水道光熱費を月2万円、趣味など月3万円に抑えることができれば、毎月の支出は22万円になるので、毎月の赤字額は1万円で済みます。

これなら、30年間生きても、赤字総額は360万円(=月1万円の赤字×12カ月×30年)になります。

夫婦の老後資金が360万円で済むのであれば、「なんとかなりそう」という気持ちになるのではないでしょうか。

ケース2:20年しか生存しなければ老後資金は1,200万円

また、老後の夫婦の支出が「平均支出と同額の月26.4万円」で、毎月の赤字額が5万円だとしても、20年しか生きないのであれば、赤字総額は1,200万円(=月5万円の赤字×12カ月×20年)になります。

1,200万円も決して小さい金額ではありませんが、老後資金がそれで済むのであれば、自宅を売れば、やはり「なんとかなりそう」です。

このように「老後2,000万円」問題は、ケース1やケース2に該当する人には起こらないといえます。

「老後に生活のレベルを下げたくないならどうするか」と考える

ここまでで「老後2,000万円」問題の本質が見えてきたと思います。

生活レベルの低下も「長生きリスク」が高まることも嫌な人は、老後資金をつくることを真剣に考えなければなりません。

定年退職して老後を迎えたタイミングで、これまで住み慣れた家を売却してアパートに引っ越すことは、つらいことでしょう。

食費を月9万円に切り詰め、趣味などに月3万円しか使えないことは、寂しいことではないでしょうか。

長生きリスクとは、長生きすればするほど、つらい生活を送る確率が高まる、というものです。老後資金が潤沢であれば、長生きリスクを考えなくて済みます。

老後資金2,000万円を現金や貯金だけで貯めようとすると、現役時代に生活を切り詰めなければならず、窮屈を感じます。

そのため、老後資金について検討を始めたら、「資産形成」の視点を持つことをおすすめします。

終活と資産形成を両立させるのがベスト

終活と資産形成を両立させるのがベスト

「終活」という言葉が、中高年で流行っています。中高年より少し若い世代でも、終活を意識している人は少なくないのではないでしょうか。

終活を考えるとき一緒に、老後資金のための資産形成も検討してみてはいかがでしょうか。終活も資産形成も、どちらも老後を考えることなので、この2つの課題は互いに相性がよいからです。

参考 老後不安をファイナンシャルプランナーに無料相談出来る定年後設計スクールとは?

終活は「引き算だけ」ではない

「終活=断捨離」「終活=身のまわりの物品の整理」と考えている人は多いでしょう。不要になったものを捨てたり売却したりして、生活を簡素化する狙いです。シンプルな生活を重視する動きもあるので、所有物を減らすことは時代の流れにもマッチしています。

高齢者世帯の身のまわりの物品が少なければ、自分たちが亡くなったあと、その子供たちが相続するものが減るので迷惑をかけないで済みます。

しかし、終活を引き算だけで考えないようにしてください。なぜなら「人生100年時代」になれば、65歳からでも35年間生きることになるからです。

35年間は、100歳の人にとって「人生の35%」です。

身のまわりのものを捨てまくってしまうと、35%の人生を送る生活環境がスカスカになってしまいます。

そして実は、物品を急いで捨てたり手放したりする必要はありません。今、リサイクル業界が急成長しています。高齢者たちが遺す物品に価値を見出す動きが高まっているのです。

物品を多く遺して亡くなったとしても、遺族はそれほど困らないでしょう。

断捨離ブームに乗せられて高価なものを手放したものの、数年後に必要なったら、買い直さなければなりません。

こうした無駄な買い物は、資産形成にとってマイナスです。

「持ち家」をどうするか

終活では、持ち家の処理が大きな課題になります。そして、資産形成を考えるうえで、不動産は常に重要な位置を占めます。

持ち家は、終活の一環として売るにしても、住み慣れた家を手放したくないと考えて持ち続けるにしても、メリットとデメリットを生みます。

例えば次のとおりです。

高齢になって持ち家を売るメリットとデメリット

メリット
  1. 家の劣化が進む前に売れるので、高く売れる(資産をつくれる)
  2. 固定資産税の負担がなくなる
  3. 最適な広さの家に住み替えることができる
  4. 住宅ローンがあれば、それを完済できる(または減額できる)
デメリット
  1. 住み慣れた家を手放すので寂しい
  2. 住宅ローンを完済した家を売って借家に住めば、新たに家賃出費が発生する
  3. 相続人(子供たち)に遺す財産が減る

高齢になっても持ち家を所有し続けるメリットとデメリット

メリット
  1. 住み慣れた家に住み続けることができる
  2. 住宅ローンが終わっていれば、住宅に関する支出は固定資産税だけで済む
  3. 相続人に不動産を遺すことができる
デメリット
  1. 家の劣化が進むと、自分たちが亡くなったあとに「迷惑空き家」になる
  2. 無駄に広い家に住み続けることになり、管理が大変
  3. 自宅を売却して老後資金をつくることができない

老後と呼ばれる年齢になったときに、「持ち家を売るべきか、所有し続けるべきか」の判断は、その人が置かれている状況と、家の状態によって変わってきます。

そして、売るべき人が所有し続けても、所有し続けるべき人が売却しても、老後生活に突入したとき、大きく後悔することになります。

老後に大変な思いをしないために、終活と持ち家の対応は、同時に考えたほうがよいでしょう。

相続は「相続税」とセットで考える

相続とは、自分の死後に、自分の財産を、配偶者や子供たち相続人に受け継ぐことをいいます。相続について考えることは、終活の大きなテーマになります。

なぜなら、相続財産を多く持ち、相続人が複数人いる場合、誰にどの程度、相続するのか決めなければならないからです。

自分の世話を献身的にしてくれた人に手厚く相続したくなるのは、人情です。

しかし、疎遠になっている人でも、その人が自分の相続人になる可能性があれば、一定程度の財産を承継しなければなりません。民法は、相続人になることができる人に「遺留分を請求する権利」を認めているからです。この権利は「相続を受ける権利」と考えることができます。

また、相続人(配偶者や子供たち)が多額の財産を承継すると、多額の相続税が課せられます。国債や株式など、現金化しやすいものであれば、それらが多額であっても相続人たちが迷惑することはありませんが、絵画や骨とう品、一部の不動産など、現金化しにくいものは、承継の手続きや相続税のことを考えると「ありがた迷惑」になりかねません。

終活では、自分の資産形成だけでなく、配偶者や子供など、自分が亡くなったあとに相続人になる人たちの資産についても考えなければなりません。

なぜ40代50代で「定年後設計」が必要なのか

なぜ40代50代で「定年後設計」が必要なのか

40代後半の人や50代の人など、「老後をリアルに感じられる世代」の人に「定年後設計」をすることをおすすめします。

ここまで解説した内容をまとめると、このようになります。

  1. 老後の生活レベルを落とさないようにするには2,000万円の資産をつくっておきたい
  2. 終活は資産形成と同時に進めたほうがよい
  3. 持ち家の対応について真剣に考える必要がある
  4. 相続と相続税について真剣に考える必要がある

これらのことを実行に移すには、定年後設計が欠かせないからです。

資産形成には「腰を据えた勉強」が必要

40代後半なら、定年の65歳まで20年近くあります。59歳でも、65歳まで6年あります。

それだけの期間があるのに、もう定年後設計が必要なのは、資産形成に時間がかかるからです。

資産形成には大きく(1)どうやって資産を増やすか決めることと、(2)実際に資産を増やしていくこと、の2つの作業があります。

(1)については、数年かかることがあります。例えば投資だけでも、株式投資、不動産投資、外貨投資など、いくつも種類があります。どの投資が自分に向いているかは、半年や1年でわかるものではありません。

そして(2)については、「10年単位」の時間が必要になります。

株式投資は短期間で利益が出ることがある反面、数カ月で多額の含み損を抱えることもあります。プラスとマイナスが相殺され、安定してプラスになるには、相当な期間が必要です。

不動産投資は初期投資が大きいので「元を取る」のに10年以上かかることは珍しくありません。

定年後設計を40代後半から始めても「全然遅くない」ことをご理解いただけると思います。

まとめ

定年後設計は、決して難しいことではありません。例えば、家計、年金、住まい、仕事、資産運用、医療・介護を順番に考えていくだけで、かなり定年後が「見えて」きます。

ネットで調べたり、参考書を買ったりして勉強してもよいのですが、どこかの時点で「プロの考え」を聞いたほうがよいでしょう。

例えば、資産運用で投資をする場合、リスクを減らす工夫が必要になってきます。プロから、リスクを減らす方法を教わりましょう。

そして、年金や医療・介護は、法律や国の制度が深く関わっていて複雑かつ難解です。「結局自分のケースでは、年金と医療と介護はどうなるのか」ということを見つけるまでに時間がかかります。これもプロに相談することで、短時間で解決します。

老後資金や終活について考えたら、定年後設計を熟知している「人生とお金のプロ」に相談しましょう。

タイトルとURLをコピーしました