
父の遺品整理を始めたら、パスワードでロックされたパソコンとスマホが見つかった。有料定額サービスの利用や株取引の形跡もあって、いったいどう対処したらいいか分からない・・・。
このような疑問・悩みにお答えします。
- デジタル遺品整理で想定されるトラブルとその解決策
- 遺品整理ではデジタル遺品の調査から始めるべき理由
- おすすめのデジタル遺品整理業者
スマホやパソコンに保存されている写真やメールなどのデジタルデータ、インターネット上にあるFacebookやTwitter、Instagramなどの個人ページなども、重要なデジタル遺品です。
しかし、デジタル遺品の場合、強固なセキュリティが壁となり、目的の情報にアクセスできないといったトラブルもよくあります。
そこでこのページでは、デジタル遺品の整理をすることになった方に向けて、トラブルに巻き込まれてしまった時の解決方法をご紹介します。
放置すると危険!?よくあるトラブルの解決方法をチェック
デジタル遺品の中には故人にまつわる貴重な情報が隠されています。中には、その情報を知らなかった(あるいは知ってしまった)ために、トラブルを引き起こしてしまうこともあります。
そこでこの見出しでは、デジタル遺品整理で想定される典型的なトラブルとその解決方法を解説します。
ケース(1):SNSやブログ、オンラインゲームのアカウントにログインできない
SNS・ブログ・オンラインゲームなどのアカウント情報は、パソコンやスマホのCookie をクリアしていないかぎり残っています。そのため本人のアカウント情報が分からなくても、遺族は簡単に各サービスへログインできるはずです。
しかし、本人が動作の都度Cookie を削除している場合や、そもそもCookieを無効に設定している場合、あるいは各サイトの仕組み上ログインの都度アカウント情報の入力が必要であるといった場合には、本人のアカウント情報が分からなければログインできません。
【解決方法】まずはアカウント情報を探す。見つからなければプロに依頼
このような場合、本人がSNSやブログ、オンラインゲームのアカウント情報をパソコンやスマホ上のファイルにメモしていれば、「ID、登録メアド」や「パスワード、パス、pass、p」といったワードでパソコン・スマホ内を検索することで、該当ファイルが見つかる可能性があります。
一方、ファイルにアカウント情報をまとめていない場合や、ファイルが暗号化されている場合は、素人では太刀打ちできませんので、プロに依頼してアカウント情報を見つけ出してもらいましょう。
ケース(2):故人が投資にはまっていた!相続人が多額の負債を相続するリスクは?
故人が株やFXなどの投資をしていた場合、遺族は「もし大損していたら、その負債を私たちが相続するの?」などと不安に思うことでしょう。
この不安を取り除くために遺族ができることは何なのでしょうか?
【解決方法】取引会社に死亡した事実を通知すればOK
故人が投資をしていたことが分かっているなら、本人の死亡後すみやかに証券会社に対して死亡の事実を通知しましょう。その際、死亡を証明する書面および通知者が相続人であることを証明する書面の添付が必要です。
証券会社は、本人死亡の事実を確認できた時点で、売買停止(株の場合)または反対取引による解約処理(FXの場合)を行います。
「故人が投資をしていたことを知らなかったために、証券会社に死亡の事実を伝えられなかった場合、取引がずっと継続してしまい、負債が発生してしまうのでは?」と心配に思うかもしれません。
しかしその心配は杞憂です。株取引では、保有する株の価値がゼロになったとしても、購入額以上の損失が理論的に発生しないからです。
したがって故人が株取引をしていたことを遺族が知らず、死亡の事実を証券会社に伝えられなかったとしても、遺族が負債を相続する心配は皆無です。
ではFXのような信用取引の場合はどうでしょうか?
信用取引の場合、あらかじめ入金した証拠金でカバーできない為替変動が起きると、「追加証拠金(追い証)」の支払が必要になり、期日までに追い証が入金されないと強制的に取引終了となります。
したがってFXの場合も、結局は証拠金の範囲でしか損失は発生せず、遺族が負債を相続することはありません。
ケース(3):動画、音楽、書籍などの有料定額サービスが継続していた
動画や音楽などの有料定額サービスは、決済が可能な状態であるかぎり利用者が死亡した後も契約が継続します。有料定額サービスの多くは、単に本人が死亡した事実を知っただけではサービスをストップしないのです。
そのため故人の死亡後、有料定額サービスをずっと解約せず放置していると、その費用を遺族が負担することになります。
【解決方法】運営元にできるだけ早く死亡の事実を伝える
死亡に伴いクレジットカードや銀行口座が利用停止になれば、当然有料サービスの支払も滞るため、3か月後も経てば契約が自動解除されます。
しかしカード会社や金融機関は、自主的に利用者の死亡情報を収集しないので、自動解除を待っている間の料金はどうしても発生してしまいます。
したがって有料定額サービスの利用が判明したら、間髪入れずサービスの運営元に死亡の事実を伝える必要があります。
また故人のアカウントが分かっているなら、すぐにサービスにログインし、所定の解約手続きを進めるようにしましょう。
ケース(4):遺品のデジタル機器が壊れていて、データを確認する事が出来ない
デジタル機器からデータを抽出するには、その機器が正常に動くことが前提です。
では、デジタル機器が壊れて正常に動作しない場合、遺族はどうすればデータを確認できるのでしょうか?
【解決方法】修理またはデータの直接抽出を試みる(ただし必ずプロに依頼すること)
デジタル機器が壊れていて起動できない場合にデータを確認する方法は以下の2つです。
- 修理して正常に起動できるようにする。
- 修理はせず、データを格納している場所(ハードディスクなど)から直接データを読み取る。
どちらの方法を選ぶにせよ、下手に素人が手を出すと破損するリスクがありますので、必ずプロに依頼しましょう。
ケース(5):遺産相続で故人のスマートフォンからデータを抽出したい
パソコンを使わず、デジタル情報をすべてスマートフォンに保存している人が増えています。
故人がスマートフォンにロックをかけていた場合、どうやってデータを抽出するのかが問題になります。
【解決方法】パスワードの見当がつかないならプロに依頼を
ロックされたスマートフォンを解除する方法には、特定の数字を入力する「パスワード入力」や、指紋や顔で認証する「生体認証」といった方法があります。
このうち生体認証によるロックの解除は、本人が亡くなっているので不可能です。
ただ、どのメーカーのスマホも、ロック解除を生体認証だけに頼るシステムは採用せず、パスワード入力も併用するのが一般的ですので、パスワードさえ分かれば解除は可能です。
ただし最近のスマートフォンは、防犯上の理由からパスワード入力を数回間違うとデータが初期化されてしまう仕組みになっています。
したがってパスワードの見当がまったくついていないなら、「このあたりかな?」などと無理に試すのではなく、初めからプロに依頼するほうが安全です。
ケース(6):メールの送り主に対して故人が死亡した事実を伝えるべきか迷う
「母が亡くなった後、しばらくしてからパソコンやスマホを開いたら、『お元気ですか?』と近況を伺うメールがたくさん届いていた。メールの送り主と母との関係が分からないので、亡くなったことを伝えていいものか悩んでいる」
このような場合、遺族はどう対処すべきでしょうか?
【解決方法】身元確認ができた送り主にだけ伝える
生前に人付き合いの盛んだった方が亡くなると、長期間連絡が取れないことを心配した友人などから「最近お話できていませんが、元気ですか?」といった近況確認のメールが届くことがあります。
しかしその中には、詐欺目的のフィッシングメールが含まれていることがあります。そのような送り主に対して、不用意に「母は死亡したのでもう連絡できません」などと返信してしまうと、その個人情報が外部に漏れて、墓石や納骨堂などの業者が営業目的で連絡してくる可能性があります。
「人が死亡した」という事実も立派な個人情報であり、業者の手に渡ると都合良く活用されてしまいます。身元確認ができないメールの送り主には返信しないように注意してください。
ケース(7):メールをチェックしたら不倫の形跡が見つかった
「亡くなったお父さんのメールのやりとりをチェックしたら、家族が知らない女性と不倫している事実が見つかった。お母さんに告げるべきか迷っている」
このような非常にデリケートな問題が発覚した場合、遺族はどう対処すべきでしょうか?
【解決方法】不倫の事実は隠し通すのが無難
結論から述べると、上のケースでお母さんに不倫の事実を告げるのは避けるべきです。
アメリカの精神科医が発表した「ストレスの強さランキング」によると、トップは「配偶者の死」で、2位が「離婚」、3位が「夫婦の別居」だそうです。
不倫は、離婚や別居に至る最大の原因です。ということは、伴侶を失い激しいショックを受けているところに、「実は……お父さん不倫していたのよ!」と追い打ちをかけてしまうと、人間が経験する最も強いストレスと2番目に強いストレスを同時に与えることになります。これは拷問に等しいのではないでしょうか?
「でもやっぱり許せないから、タイミングを見計らって不倫していたことを告げたい!」というのであれば、すぐに告げるのではなく、時間を空けることが重要です。3回忌や7回忌が終わり、お母さんのショックが癒えてからにしましょう。
ケース(8):遺影を故人の写真フォルダから選びたいがロックがかかっていて開けない
今や写真をプリントしてアルバムにまとめている人は少数派で、大半はデジタルデータの状態で管理しているはずです。そのため、データの保管場所にロックがかかっていると写真を見ることができません。
このような場合、どうやって写真を開けば良いのでしょうか?
【解決方法】保管場所・保管方法によって対処法が異なる
ロックされた写真フォルダの開き方は、保管場所の写真フォルダをパソコンとスマホどちらで管理していたかで対応が代わります。
パソコンでパスワードを管理していた場合
パソコンで管理していた場合、ロック付き写真フォルダの保管場所としては「パスワードが設定された外付けHDD」「パスワード機能付きUSBメモリ」などがあります。
この場合、パスワードが分からなければロックを解除することはできませんので、プロに依頼して解析してもらうことになります。
スマホで管理していた場合
写真アルバムをスマホで管理していた場合は、まずスマホのロックを解除できることが前提です。
解除した後の対処法は、写真アルバムを「アプリを使ってロックしていたか否か」で変わります。
写真をパスワードでロックし、他人が見えないようにするアプリ(KeepSafeなど)を使っていた場合、パスワードが分からなければ当然開くことはできないので、プロに解析を依頼することになります。
他方、アプリを使わず、AndroidやiPhoneの標準機能で「非表示化」していた場合は、簡単な操作で表示することが可能です。
まずはデジタル遺品の調査を依頼すべき
デジタルデータの中には、故人の交友関係や財産に関する重要な情報(口座情報や不動産の目録など)が記録されていることがあります。そのような場合、デジタル遺品の調査が終わらないかぎり、相続財産の全貌も分からないので非常に困ります。
しかもデジタル遺品の調査は、素人では太刀打ちできないことも多いので、「とりえあず身の回りの家財道具の整理から始めよう。面倒なデジタル関係は最後でいいや」などと、つい後回しにしがちです。
その結果、相続の申告期限(死亡から10か月以内)ぎりぎりになってからデジタル遺品の調査を始めるなど、とても慌ただしい遺品整理となってしまうおそれがあるのです。
したがって遺品整理を行う場合、まずデジタル遺品の調査から始めるのがおすすめです。もし自力で調査できそうにないなら、すみやかにプロに依頼するようにしましょう。
遺族が把握できていないデジタル遺品があることに注意
デジタル遺品の整理で遺族が注意しないといけないのは、「どこかに把握できていないデジタル遺品があるかも?」ということです。デジタル遺品がパソコンやスマホのように目に見える物ならいいのですが、目に見えないネット上のサービスだと、その存在に気づけないこともよくあります。
したがって、デジタル遺品の整理をする際は、故人が使用していたインターネットブラウザのブックマークや過去の閲覧履歴も漏れなくチェックし、有料サービスや資産運用のサイトを利用していないか確認してください。
閲覧履歴が削除されていた場合、市販のデータ復元ソフトを使うことで復元できる可能性がありますが、ソフトの扱いに自信がない場合はプロに依頼するのがおすすめです。
データの抽出・解析・復元の費用は「成果報酬型」がほとんど
データの抽出・解析・復元などを行う業者の費用は、「成果報酬型」である場合がほとんどです。
成果報酬型の場合、作業に着手しても満足なデータを取り出せなかった場合や、目的の有料サービスのアカウント情報などにアクセスできなかったとしても、実費以外の料金が発生しません。
したがって「デジタル遺品整理を頼みたいけど、何も見つからなくてもお金だけ取られるの?」などと心配する必要はありません。
おすすめのデジタル遺品整理業者
最後に、デジタル遺品整理を安心して依頼できるおすすめの業者を2社ご紹介します。
マレリーク
サービス特徴
マレリークは、関西・関東エリアを中心に遺品整理を行っている会社です。デジタル遺品の整理だけでなく、通常の遺品整理や特殊清掃にも対応しているので、故人の遺品整理をまとめて依頼したい場合にはとても便利な会社です。
ご利用者の声
祖父母の自宅を整理する際に出てきたパソコンのロック解除やデータ解析、利用しているネットサービスのID情報確認をお願いしました。パソコンの引き取りから作業完了まで5日で完了したのでとても驚きました。デジタル遺品の整理法についてもスタッフさんが色々なアドバイスをしてくれたので、私自身とても勉強になりました。
遺品整理を業者に任せることに若干の抵抗があったのですが、スタッフさんの親切な対応と見事な仕事ぶりを見て、利用して本当に良かったと思っています。デジタル遺品の整理だけでなく、仏壇の処分など通常の遺品整理も一緒にお任せできたので、大変助かりました。
デジタルデータフォレンジック
サービス特徴
「フォレンジック」とは、企業が所有するデジタル機器のデータを解析し、法的な証拠を見つけ出す高度な調査手法のこと。
デジタルデータフォレンジックは遺品整理業者ではありませんが、データ復旧の相談件数約18万5,000件、データ復旧率95.2%と、フォレンジック業界でトップクラスの実績を誇っており、デジタル遺品の調査もお手の物です。
ご利用者の声
親類が亡くなり、遺品の中に古いスマホがあったのですが、壊れて動かなくなっていたためデータ抽出をお願いしました。担当スタッフの方がわざわざ遠方まで出張してくださり、とても親身に話を聞いてくれました。提示された料金は、安月給の私にとって決して安い金額ではありませんでしたが、きめ細かな対応をしていただいたので妥当な金額と感じています。
亡くなった父が自宅で使用していたパソコンの解析を依頼しました。ほぼすべてのデータを取り出していただけたので満足しています。特に嬉しかったのが、大量の家族写真を復元できたこと。父はカメラが大好きで、私が生まれた時から成人するまでの写真や、愛犬たちの可愛い写真をパソコンで管理していたんです。そのすべてを復元できたことで、家族の楽しい思い出がよみがえってきました。
まとめ
デジタル遺品整理の場合、通常の遺品整理とは異なり、「素人にはまったく手が出せない」というケースがよくあります。「パスワードが分からないのであちこちファイルを探す」といった程度なら問題ありませんが、電源の入らないデジタル機器を下手に解体したりすると、二度と復元できなくなるおそれもあるので要注意です。
デジタル遺品整理は、一般的な遺品整理とは次元の異なる高度な処理技術が必要であるため、通常の遺品整理や特殊清掃と一緒に請け負ってくれる業者はまだ少ないのが現状です。
デジタル遺品整理をプロに依頼したい方は、遺品整理業者だけでなく、データ解析を専門に行う業者も含めて幅広く探すようにすると、信頼できる業者に出会える確率が上がりますので試してみると良いでしょう。