年金受給年齢は繰り上げた方が得?繰り下げた方が得?

コラム
年金を何歳から受け取るべきか迷う人
年金を何歳から受け取るべきか迷う人

年金っていくつからもらえるのだろう?繰り上げてもらえたり、繰り下げてもらえたりするっていうけど、どちらが得だろうか?夫が亡くなったらもらえる年金が減ってしまう?年金のことが難しくてわかりません。

このような疑問・悩みにお答えします。

記事テーマ
  1. 貯蓄があるなら75歳を分岐点として年金受給年齢は繰り下げを検討すべき
  2. 在職老齢年金にも注意が必要
  3. 男女別で年金を受け取ることができる年齢が違う
  4. 厚生年金では加給年金にも注意が必要

年金は「何歳からもらえるのか」「何歳からもらうのが得なのか」「配偶者が亡くなったらもらえる額が変わるのか」などよほど年金に詳しい人でない限りは知らない、わからないということが数多くあります。

そこで年金を効率的にもらう方法について紹介していきたいと思います。

なお、この日経新聞の記事にあるように、年金の受け取り方が大きく変わろうとしています。それを踏まえながら、解説します。

参考 公的年金、75歳から受け取り可能に 改革法案を閣議決定(日経新聞)

結論、75歳を分岐点として考える

75歳を分岐点として考える

老後に安定した生活を送るためには「年金収入>老後の支出」という状態を作り出すことがポイントです。この状態を維持することができれば老後の生活資金が不足するという状態を回避することができます。年金の受給時期の変更もこのうちの一つの方法です。

ただし、それはすべての人に当てはまるわけではありません。60歳以降も仕事を続けるのか続けないのか、配偶者がいるのかどうか、配偶者は仕事をしていたかどうか、配偶者との年齢差はどれくらいかなどさまざまな条件によって年金の受給額は違ってきます。

不確実性の高い75歳以降、老後破産を防ぐためにはiDeCoやNISAの活用が効果的ですが、ここでは年金受給年齢の繰り上げ、繰り下げについて言及していきたいと思います。

年金受給時期が変われば、受給額も変わる

年金受給時期が変われば、受給額も変わる

「年金」といっても「国民年金」と「厚生年金」の二種類があります。このうち国民年金は基本的には「65歳」になると受給できるようになっています。厚生年金は「60歳」から給付が始まっていきます。

この受給する年齢よりも前にもらうことを「繰り上げ」、それよりも後からもらうようにすることを「繰り下げ」といいます。

単純にもらう時期が変わるというだけでなく、もらえる額が変わるという特徴があるため、慎重にメリットとデメリットを押さえておく必要があります。

参考 【50代限定】老後不安を解消する定年後設計スクールとは?<無料開催>

年金の繰り上げとは?

国民年金は65歳から受給されるものですが、これを60歳~64歳の間に申し出た年齢から受給を開始するという方法です。この繰り上げには「全部繰り上げ」と「一部繰り上げ」があります。

早くから年金を受け取ることができるというメリットがあるのですが、繰り上げ受給の請求をした時点によって正規の年金よりも減額され、しかもその減額率は一生変わることがありません。

つまり長生きをすればするほど受け取る額が少なくなっていることはデメリットとして残っていくことになります。

その減額率は以下の計算式で出されます。
「減額率=0.5%×繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数」

となっています。

年金の繰り下げとは?

こちらは年金の受給開始を66歳以降70歳までの間に繰り下げるという申し出をすることです。繰り下げることによって開始時期によって受給する年金額が増額されることになります。70歳から受け取るということにすると受給額を最大で「42%」増額することができます。

1年遅らせるだけでも「8.4%」増額されることになります。

つまりもらい始める時期は遅くなりますが、どこかの時点で「得をする」という時期に入っていくことになります。

70歳からもらい始めたとすると「約12年」もらった時点で65歳からもらう場合よりも額が大きくなります。

82歳の時点がターニングポイントとなります。

現在日本では平均寿命がどんどん延びていますので平均寿命まで存命であるならばこちらの方が得ということになります。

ただし70歳まで受給時期を遅らせて、それから数年程度しか存命できなかった場合には損をするということになります。

在職老齢年金にも注意が必要です

年金の繰り上げや繰り下げを考える際には「在職老齢年金」にも注意しなければいけません。

これは「年金」と名前がついているのですが、実は年金が「減額」される内容のものです。

  1. 対象者が60~64歳の場合、賃金と年金の合計が28万円を超えると減額される
  2. 対象者が65歳以上の場合、賃金と年金の合計が46万円を超えると減額される

というものです。

つまりしっかりと働いて収入が多い場合には年金が減額されるということになるのです。

では年金を繰り下げて70歳から受給するようにしていれば、それまではフルタイムでしっかりと働いても問題ないのでしょうか。

実は大いに問題があります。

繰り下げて70歳以降に受け取ることにした年金の額は在職老齢年金によって減額された金額となるのです。それを知らずにフルタイムで働き続けると思いがけずに損をしたと感じることがあるかもしれません。繰り上げや繰り下げを考える場合にはこういった在職老齢年金などについても考える必要があると言えます。

男女別で年金を受け取ることができる年齢が違う

男女別で年金を受け取ることができる年齢が違う?

公的年金制度はこれまでに何度も改正が加えられてきています。

受給開始時期についても同様で、国民年金の老齢基礎年金は「65歳」から、厚生老齢年金は「60歳」から給付が始まっていますが、これから先、厚生老齢年金についても段階的に受給開始の年齢が引き上げられることが決められています。

そして、どの段階で開始年齢を引き上げていくかが男女で違っているのです。

  1. 男性・・・「昭和36年4月2日以降に生まれた人」
  2. 女性・・・「昭和41年4月2日以降に生まれた人」

からが厚生老齢年金の受給開始が「65歳」となっていくのです。このことが男女で年金の開始時期が違っているということに関係していると言えます。

厚生年金では加給年金にも注意が必要

この「加給年金」は厚生年金が対象となっているものです。対象となっているのは「65歳未満の配偶者」「18歳未満の子供」です。このうち、よく発生するのは「65歳未満の配偶者」です。

65歳に達して年金を受け取り始めるときに「同じ生計を維持している65歳未満の配偶者」がいる場合には年間に「224,300円」の加給年金が発生します。

そしてこれから年金を受け取ることができる年代の場合は特別加算として「165,500円」が加算されることになりますので、合計で「389,800円」が加算されることになるのです。

これが夫婦の年齢差によって発生する年金で、その年齢差によって受け取ることができる金額が変わってくることになります。

例えば夫婦の年齢差が「5歳」であれば、加給年金を5年間受け取ることができます。そうすると200万円近い金額を得ることができるのです。

しかし年金の繰り下げを行って70歳から受給するということにしているとその間は加給年金は発生しません。

そのためかなり配偶者との間に年齢差がないと加給年金を受け取ることができないことになります。

夫の死後に妻が年金を手厚くするにはどうすればよい?

夫の死後に妻が年金を手厚くするにはどうすればよい?

近年日本では男性の平均寿命が「81~83歳」、女性の平均寿命が「87~89歳」となっており、年齢差がそれほどない夫婦の場合は、夫の方が先に死亡するというケースが多くなっています。

ではその場合、妻の受け取る年金はどうなるのでしょうか?

一般的には夫が先に亡くなった場合は「遺族厚生年金」が発生するというイメージがありますが、実はこれは確実ではありません。

夫の職業、妻が働いていたかどうかなどの条件によって変わるのです。そこでここでは、それぞれのケース別に紹介していきます。

夫が会社員で妻が専業主婦であった場合

昔の日本で多かったパターンです。この場合、妻が専業主婦であったので自分で厚生年金には加入していません。そのため夫の加入していた厚生年金から「遺族厚生年金」を受け取ることができるようになります。

夫の老齢基礎年金や企業年金などについては支給が止まりますので受け取ることはできません。遺族厚生年金は妻の年齢に関わらず、夫が死亡した翌月から支給が始まります。

そして妻が再婚しない限りは生涯支給されることになります。ただし、夫の死亡時に妻が30歳未満であった場合は5年間の支給となります。

受け取る額は「夫の厚生年金の75%」です。

これに加えて、夫が死亡した時点で18歳未満の子どもがいた場合には「遺族基礎年金」が支給されます。これは年間「780,100円+子ども一人につき224,500円」が加算されるというものです。

また、夫が死亡した時点で40~64歳であった妻には65歳になるまで「中高齢寡婦加算」が年間「58万5100円」支給されます。これらに妻自身の老齢基礎年金を足したものが合計支給額となります。

夫と妻の両方が会社員だった場合

日本で増加傾向にあるパターンです。夫と妻の両方が会社員であった場合に夫が先に死亡すると、

  1. 妻自身の老齢厚生年金
  2. 夫の遺族厚生年金(夫の老齢厚生年金の75%)

のうち金額が高い方を受け取るということになります。

つまり妻の方が死亡した夫よりも年収が高かった場合などには夫の遺族厚生年金を受け取ることはできません。また、夫が死亡した時点で妻の年収が850万円以上ある場合にも遺族厚生年金は支給されません。

妻の年収が高ければ高いほど夫の遺族厚生年金を受け取る可能性は低くなっていくということです。

夫が自営業やフリーの仕事をしていた場合

自営業やフリーで仕事をしている人は厚生年金に加入していないため、遺族厚生年金は発生しません。
国民年金から「死亡一時金」が一度支給されるだけとなります。金額は12~32万円ほどです。

これらのことを考えると夫が先に死亡したあとで妻が受け取ることができる年金は「夫の職業」「妻の勤務状況」などによって変化するということになります。

どうすればもっとも多くの年金を受給できるかを早い段階から考えておくのも良いかもしれません。

老後にもらえる年金、必要となる支出のことに目を向ける

老後に必要となる生活費にはこれまでに説明したような年金のほかに退職金や株などの資産運用なども含めて総合的に考えることが重要となります。

そしてその人の職業や、60歳以降も仕事を続けるのかどうか、配偶者がいるのかどうか、配偶者との年齢差などさまざまな条件によって年金の受給額は違ってきます。

それらの収入と老後に必要となってくる支出のバランスを考えなければいけません。

持ち家なのか賃貸なのか、民間保険の支払い額はどうなっているかなどにもよるため、「人によって最善の方法は違う」ということになります。

人によって違うためにどうすれば良いのかわからないということもあるのです。そういった場合には専門家に相談することをおすすめします。

自分が知らなかった方法などを教えてくれることも多く、その人にあった道筋を示してくれるでしょう。

こういったライフプランの相談には「ファイナンシャルプランナー」のような職業の人や「定年後設計スクール」のような場所が頼りになります。

ぜひこういった場所を有効に活用して自分の老後計画を立てていきましょう。

参考 無料で参加できる「定年後設計スクール」とは?

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