投稿された悩み相談
Q.骨董品を売ったお金は遺品整理を手伝ってくれた遠い親戚にも分けないといけないのか?
先日、私の祖父が他界し、葬式のあと親族が集まって祖父の遺品整理を行いました。祖父は骨董品を集めることが趣味で、家にはたくさんの骨董品が残っていました。骨董品が好きな祖父が集めていたのだからきっと高価なものなのだろうとは思いましたが、誰も譲り受けたいと思う人はいませんでした。
そのため、売ることになったのですが、ある親族が骨董品の売り上げは遺品整理を手伝いに来た人で分けようと言い出しました。普通遺品整理は死者に近い親族だけで行うものだと思いますが、その日の遺品整理には葬式後ということもあり、善意で手伝ってくれた遠い親戚も参加していました。
売り上げは遺品整理を手伝いに来た人で分けようと言い出した人も普通は財産分与されない遠い親戚です。この場合、骨董品を売ったお金は遺品整理を手伝ってくれた遠い親戚にも分けないといけないのでしょうか。
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回答一覧
相続法の見地からは、遺品整理を手伝ってくれた親戚は法定相続人ではないので、骨董品の売上を親戚に分ける必要はありません。
また契約法の見地からは、親戚に遺品整理を手伝ってもらった行為は「準委任」にあたります。準委任とは、法的な効果が発生する行為(契約の締結や遺言書の作成など)ではない「単なる作業」を他人に依頼し、依頼を受けた他人がその作業を実行するという契約のことです。
準委任の場合、当事者間であらかじめ報酬を定めていないかぎりは、受任者の報酬請求権は発生しません。
したがって、親戚との間であらかじめ手伝いの報酬を決めていなかったのなら、骨董品を売ったお金を(報酬として)分ける必要はない、というのが結論です。
もし質問主様が、なにがしかのお礼の気持ちを示したいという場合は、「相続人ではないので、遺品の売却代金は渡せない」ということを丁寧に説明し、納得してもらった上で謝礼を受け取ってもらいましょう。この説明を曖昧にすると、後日「遺品整理を手伝ったのだから遺産の一部をよこせ!」などと要求されてしまう可能性があるからです。
これは「遵法精神」の問題です。相続法を守る意志があるなら、遺品の売却代金は相続財産として税務署に申告することでしょう。反対に、杓子定規に法律を厳守するよりも、家族や仲間との絆を大切にしたいのであれば、遺品整理を手伝ってくれた方に、(たとえ相続人でないとしても)謝礼の意味で遺品の売却代金の一部を譲るのも良いでしょう。
「法は最低限の道徳」とも言われますが、法律が人間関係をさばく絶対的な指針となるわけではありません。
法を遵守して謝礼を断るか。遺品整理を手伝ってくれた方への恩義を重視するか。どちらを選ぼうが、正解でも不正解でもありません。要は質問主様の気持ち次第です。